第9回コラムは身体の在り様を呼吸に聴くという内容です。
聴く、というほどに大げさなものではありませんが、一つこういう視点で身体をみても面白いかもしれませんというコラムです。
身体の膨張と収縮の働きの話になると、こういう質問を受けることがあります。
身体は膨張していた方がいいのですか?それとも収縮していた方がいいのですか?
答えは膨張でき、収縮できること。
ということになってしまいますが、もう少し踏み込むと、平時は、やや収縮側にいるのが良いとも考えることもできます。
私は常々、身体はコンパクトになっていた方が色々な意味で機能的であるということを話します。事実、不調体質の方の多くは膨張していると感じているからです。
その理由はとても簡単です。
身体に聴けばいいからです。
まず人間の呼吸を、最大吸気・最大呼気という両極を設定し、そこに中間を置きます。
人間が最もリラックスしているときは、そのエリアのどの部分で推移しているでしょうか?
最大吸気あたりのエリアで平時呼吸などできません。
最大呼気も同じです。
人間が最もリラックスしているときは、現実的に考えれば、中間のやや下、やや呼気よりのポジションで推移しているときです。
呼吸と、膨張・収縮を読めば、
吸気で膨張し、呼気で収縮する。
やや呼気よりが最もリラックスできているのであれば、やや収縮よりで呼吸が行われているということが最も機能できるポジションということになります。
このポジションに呼吸をおけると、身体は自ずとコンパクトになり、筋・関節の運動や循環系システムなども正常に作動しやすくなります。つまり、自然治癒力が働く環境です。
後は、その環境を、その都度変わる環境の中で変化変動しながらも、どのように守っていくのか。ということになります。それに四肢と呼吸の関わりを知る必要がありますし、また統制法というのは呼吸の中心を崩さない方法論でもあります。
繰り返しますが、これは膨張と収縮という働きが両方できているという前提の上での話です。
不調体質の多くの方はやや吸気よりで呼吸が推移していたり、また呼吸を止めて膨張と収縮という働き自体を阻害している方も少なくありません。
前回のコラムで書きましたが、呼吸の中心をつくると、やや呼気よりに呼吸が設定されやすくなります。
人間には全ての機能が基本的にあります。
答えは身体が知っているというのが大げさな話ではありません。